1300年余の伝統を誇る桐生織物産地。長い歴史の中、近代には昭和恐慌からもいち早く立ち直り、1935年(昭和10年)前後に隆盛期を迎えました。桐生織物記念館は当時の桐生織物同業組合(現桐生織物協同組合)の事務所として、34年(同9年)10月に建てられました。
「織都」の別称を持つ桐生の隆昌をいまに伝える象徴的な建築物で、1997年(平成9年)5月に国の登録有形文化財に指定され、2015年(平成27年)4月には日本遺産かかあ天下―ぐんまの絹物語―の構成施設として文化庁より認定されています。
木造2階建て瓦ぶきでそのころに流行したスクラッチタイルが張りめぐらされています。屋根には青緑色の洋瓦を用い、2階の旧大広間にはステンドグラスが入ったモダンな造りとなっています。
新織物会館の竣工に伴い、桐生織物会館旧館として位置づけられ、貸し事務所や貸室(会議室・催事等)などに用いられるようになりました。2001年、現在の名称である桐生織物記念館に改称して観光客の受け入れを図るとともに、産地の繊維製品を販売するようになりました。
産業観光を図る上で地場産業の繊維を貴重な資源に位置づけ、その中核施設として2012年8月、2階に織物資料展示室が整備されました。1階も桐生織物販売場として一新され、桐生織物を発信する拠点に生まれ変わりました。また、レトロな佇まいは高く評価され、映画やドラマのロケにも頻繁に活用されています。